2018-01-30

検証・トコノール黒は色落ちするのだろうか?

今日は、実験してみました。

事の発端は、販売サイトにていただいた
「革紐はやはり、色落ちしますか?」とのご質問。

これから夏に向けて、
革の色落ち問題は心配ですよね。
私も心配です。
白いブラウスとかTシャツとか着て、バッグ斜め掛けにしたいです。


標的はこちら。
お財布ポシェットの革紐です。


こちらのお財布ポシェット、
当初、φ4mmの丸革ひもをストラップにしていました。
なぜって?それはズバリ、色落ちが心配だったのと、予算の問題です。

とはいえ、やはり、平紐がよかろうと改心。
長さも簡単に変えられて、2パターンの持ち方ができたらなお良し、
と思い、この肩紐の形状に行き着きました。

当初、栃木レザーの革紐を仕入れていたのですが
度々、売り切れてしまう事件が発生。
それを機に、
栃木レザーから、姫路レザーに肩紐の革の種類を変更しました。

そしてしばらくは
色落ちが心配なので
ベージュのヌメ革のみを販売しておりました。



Aどん という友人が
子の卒業式と入学式で使うと言い、
他にも黒紐のお問い合わせをいただいていたこともあり、
黒紐タイプをお取り扱いすることに決めました。




こちらが革の裏側(床面)です。
これはどちらも姫路レザーですが、
去年まで扱っていた栃木レザーの革紐は、
厚みが2.5〜2.8mmくらいで、床面は上の革のように黒く染めてありました。
そこにクリアのトコノール処理をすることで
色落ちはほとんど気にならない感じでした。

そして新しく仕入れた姫路レザーは、厚みが5mmくらいあるので
2.8mmに漉いてもらい、さらに1.5mm幅にカットしてもらっています。
こちらも、もとは床面が染めてあるのに(写真上)、
それをわざわざ漉いてしまうので、床面がベージュになってしまいます。

これは、コバも床面も自分で染めなければ・・・・。

というわけで、実験開始です(前置き、長・・・)。


コバ処理用に購入してあった、
フェニックスコートという、染料系コバ仕上げ材のマットタイプ。
まずはこちらを塗ります。


そして、半分にトコノール黒、もう半分にトコノールクリアを塗って磨きました
(コバも同様に)。
ちなみに、トコノールは、コバや床面の毛羽立ちを抑えて、磨くとツヤが出る仕上げ材です。
紐の裏側をツルツルにすることで、肌触りを良くし、お洋服にひっかかったりしにくくするために、塗って磨きます。


こちらは、トコノール黒のみ
(コバはトコノール黒のみでは色がのらず薄過ぎたので、フェニックスコート+トコノール黒にしました)。


以前、試し塗りしたときは、トコノール黒だけだと薄い感じがしたのですが
重ね塗りして磨くとそんなに薄くもなく。
コバの染色にはフェニックスコートを使って、床面はトコノール黒だけでもいいかもです。
フェニックスコート+トコノールの方が薄く見えますが、
これは光のせいで、肉眼での見た目はほぼ一緒でした。

ここで、一晩寝かせます。


数時間後・・・・
おっしゃー!朝が来た!
というわけで、
水に濡らしてしぼったティッシュでゴシゴシしてみました!



って、わ〜〜!
色落ちしちゃう〜〜〜。フェニックスコート+トコノール(黒もクリアも)の方がまだマシかな? トコノール黒のみなんて、すっごい色落ちしちゃう〜〜!!!
なんでだろ〜? 重ね塗りしたせいかな??

というわけで
コヤツの出番です。


オキドキスプレー(つや消し)。

こちらは、けっこう昔、バッグ教室に通っていたころ、
ものすごく色落ちしちゃう革を買ってしまったことがあり、その時に購入したもの。

コレを「トコノール黒のみ仕上げ」の方にスプレーしてみます。
換気必須です。
そして、ほんの2分後くらいに、水でぬらしたティッシュで、拭いてみました。



す、すごーー!!!
ぜんぜん、落ちない。
風合いも変わらない感じです。
あんまり落ちないので、疑って、10回以上、力を入れてゴシゴシしてみましたが、落ちませんでした。

このスプレー、使うときのニオイがすごいので
外とかでスプレーしないといけないのが難点ですが、
こんなにも効果を発揮するとは、正直、驚きました。

これからは、これで仕上げて、色落ち防止。

というわけで、
完全に色落ちしないとは断言はできませんが
仕上げにオキドキスプレーをかけることで、かなり心配は減ると思いました。
今後、色落ちが心配な肩紐は、オキドキスプレーで仕上げることにします。
報告、以上です。


※2019年1月22日追記※
オキドキスプレーで対処していた色落ち問題ですが、
去年、こちらの染料屋さん(Lizedさん)がオープンされ、
今は、
こちらのウレタントップ、またはエッジカバーを最後に塗布するようにしています。
(オキドキスプレーはニオイがけっこうすごくて、
外でスプレーしなくちゃダメなのが大変でした)


※2019年5月7日追記※
しばらく、床面にLIizedさんのエッジーカバーを塗っていたのですが、
どうも、床面が固くなって、
使用しているうちにザラザラが逆にひどくなってきてしまうようです。
お客様より、何回かお問い合わせがありました。
(ごめんなさい・・・)

よかれと思って、床面の最終処理に使っていたエッジカバー。
確かに、カバーはするけど、
ヌメ革の床面には向かないようです。

というわけで、
現在、黒い革の床面は
Lized染料の黒→トコノール黒で磨く→オキドキスプレー
となりました(オキドキスプレー復活)。

コバは、一時期、Lizedさんの黒のエッジカバーを塗っていたのですが、
イマイチ上手く仕上げられず(ツヤ感がヌメ革とマッチせず・・・)
現在は
Lized染料の黒→プロエッジ(レザーメイトさとうさん、IN FACTORYさんなどで購入できます)で磨く
に落ち着きました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜追記終了

ベージュのヌメ革の銀面にも、ウレタントップを塗ることで
水シミの防止になってとてもよいです
(完全に防止にはなりませんが、何もしないよりだいぶいいです!!!)

ウレタントップは、
はじめはマットを使用し(手塗りにはマットがオススメだそう)、
艶が欲しくて相談し、グロスHを塗ったところツヤツヤ過ぎ(エアブラシ推奨)、
マットとグロスHを半々で混ぜたところ良い感じになりました
(個人的には半々の割合でも、手塗りで大丈夫でした)
(商品だと、スタンダードというタイプが、同じくらいの割合だそうです)。
選ぶ際のご参考になさって下さい。
銀面のウレタントップも、よかれと思って3回重ね塗りしていたところ、
どうもマットな筋のようなものが目立ってしまい、
現在、重ね塗りは2回までとすることで、ややマットながら筋までは出ない仕上がりとなっております。